久留米シティプラザ 久留米シティプラザ

劇作家・岸井大輔コラム

 久留米シティプラザでは、まちを取材してその地域ならではの戯曲を執筆する劇作家の岸井大輔氏を講師に迎え、安徳天皇を取材して演劇で遊ぶワークショップ「くるめと安徳天皇伝説(通称・安徳部)」を毎年開催しています。ここでは、2019~2020年に広報紙まちプラのために書き下ろした全3回のコラムをまとめてご紹介します。

 

 

 

 【Column】 劇作家 岸井大輔 

 

 

 

 

 1 企画概要編(まちプラvol.23掲載)

 

 

 久留米は安徳天皇を祀る水天宮の総本宮がある。安徳天皇は昔から変わらず日本の演劇のスーパーヒーローです。なので、「久留米シティプラザで安徳天皇演劇祭をしてはどうでしょう」という提案を4年し続けている劇作家の岸井です。はじめまして。
 安徳天皇は歌舞伎にも能にも出てきます。オペラにもなり、毎年のように新作現代劇も書かれます。シティプラザには多様な劇場があるので、この多ジャンルの上演を全て、なんなら同時にやれます。同じ物語の違う脚色、演出なので、見比べるとわかりやすく、楽しいでしょう。安徳天皇は、作品によって全く違った語られ方をするので、同じ話で退屈することもありません。日本の古典芸能や現代劇に触れ学ぶ、よい機会になります。
 歌舞伎と能とオペラと小劇場演劇が一箇所でやれる劇場なんて、日本にいくつもありません。実現すれば日本中から観客が来るでしょう。安徳天皇の物語には、それぞれに日本中にファンがいるからです。  高良大社に歴史的価値の高い平家物語写本(重要文化財)があるなど、久留米では安徳天皇をめぐる物語が愛されてきました。この演劇祭が実現されれば、普段久留米シティプラザに足を運ばなかった多くの地元の観客を集めることができるでしょう。久留米の安徳伝説を下に新作を上演してもいいかもしれません。
 たくさん会議室を持ったシティプラザなので、安徳天皇をテーマにした学会を同時開催するのもいいでしょう。歴史・文学・地理について、広範なテーマを扱うことができます。安徳天皇を観光資源とする地域、実はたくさんあります。安徳天皇を祀る久留米はそれら全体とつながることができるでしょう。ということで、「シティプラザで安徳天皇演劇祭をしたらいいんじゃないか」と4年ほど主張している劇作家の岸井大輔です。続きます。

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 2 物語編(まちプラvol.24掲載)

 

 水天宮に祀られている安徳天皇は、人気があり、いろんな芝居に出てきます。なので、「久留米シティプラザで安徳天皇演劇祭をしてはどうでしょう」という提案を4年し続けている劇作家の岸井です。前号の続きです。
 安徳天皇は、6歳でおばあちゃんに抱かれ、海に飛び込み死にました。お母さんの目の前で。事故でなく心中です。お子さんがいる方にはぞっとする話でしょう。戦争で、敵に奪われないよう殺したのです。
 安徳天皇が生き延びた話はたくさんあります。墓までたくさんあります。安徳天皇への同情が、多くの伝説を残し、物語を生んだのでしょう。60以上の町が、「安徳天皇は自分の町に生きて逃げて来た」と言います。観光の目玉にし、成功しているところもある。久留米には水天宮だけでなく、草野や夜明など安徳天皇の物語を残す場所も多い。高良大社には、最古の龍谷大学本に次ぐ平家物語の古写本が残ります。安徳説話にとって最も重要な場所は久留米かもしれません。
 シティプラザは大きな会議室がたくさんあるので、安徳天皇サミットを主催するのはどうでしょう。全国の安徳伝説が残るまちの話や観光の様子をまとめて聞き、劇場で、安徳天皇が出てくる歌舞伎や能やオペラや現代演劇作品を一挙に上演し、安徳天皇ネットワークをつくり、中心地となるのです。この話、次号に続きます。

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 3 通称”安徳部”部員募集編(まちプラvol.25掲載)

 

 久留米に総本宮がある水天宮に祀られた安徳天皇は、日本演劇のあらゆるジャンルで描かれ、いろいろなまちで愛され、観光資源となっています。なので、「久留米シティプラザで安徳天皇演劇祭をしてはどうでしょう」という、『まちプラ』で3回に渡る提案の最終回です。 劇作家の岸井大輔です。
 久留米シティプラザから企画を依頼され、5年前に初めて久留米に来ました。久留米は演劇のネタの宝庫です。磐井の乱※から石橋正二郎まで、日本全国に影響を与えてきた重要なまちといえるでしょう。肥沃な筑紫平野を抱え、山がちな九州の交通の要地だからでしょうが、久留米の良さを腑に落ちるように語るのは難しいな、と感じました。そこで、安徳天皇の平家物語に注目しました。
 安徳天皇が壇ノ浦後も生きていたとする伝説の舞台は、西日本全体に広がっていて、それをたどると、実は久留米の姿がよく見えるようなのです。 安徳天皇の物語を調べたり、伝承の地をめぐったり、出てくる戯曲を読んだりするワークショップ『くるめと安徳天皇』を毎年開催しています。安徳部と通称されるようになりました。いつか、安徳天皇演劇祭が開催されたときに誰よりも楽しめるのが、われわれ部員じゃないかと思って活動中です。 新入部員常時募集中です。ご連絡は久留米シティプラザまで。

 

※磐井の乱…527年、地方の豪族である筑紫国造(つくしのくにのみやつこ)磐井が中心となり、大和政権に対して起こした古代史上最大の内乱で、久留米市付近で鎮圧されたと伝わる。磐井の墓とされる岩戸山古墳が八女市にある。

 

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劇作家・岸井大輔コラム

2020年08月13日