ミュージカル『キューティ・ブロンド』神田沙也加さんにインタビュー
日本でも大ヒットを記録した映画『キューティ・ブロンド』のミュージカル版。初演時は追加公演も含め全席完売御礼、千穐楽に早くも再演が発表された大ヒット作が、間もなく久留米にやって来ます。恋もオシャレも勉強も全力投球、ポジティブでアクティブなブロンド娘・エルを演じるのは、本作初演で菊田一夫演劇賞を受賞した神田沙也加。昨年の『マイ・フェア・レディ』の好演も記憶に新しい彼女に、再演にかける意気込みを語っていただきました。ここでは広報紙「まちプラVol.20」に収まりきれなかったインタビューをお届けします。
みんながハッピーになれる
最高の再演をお届けします
―再演の意気込みをお願いします。
初演の後、たくさんの方から「もう一度観たい!」「エル役の沙也加ちゃんが観たい」というお声が届いて、皆さんが待ち望んでいる『キューティ・ブロンド』の魅力とは何だろう…と改めて考えることが出来た2年間でした。この作品で菊田一夫賞をいただいたことや再演の喜び、そういうものを自信に変えて、皆さんが更にハッピーになれるような楽曲や演出で、エネルギッシュなステージをお届けします。
―今回、新たなキャストも加わりましたね。
尊敬する先輩・エメット役が平方元基(福岡県出身)くんになりました。彼とは歳が近くて仲も良いので心強いですし、新たに加わったアンサンブルの皆さんもたくさんの武器を持っています。人が変わるということは、結末までのドラマ自体が変わるということ。一人ひとりの個性をすごく尊重した現場なので、それぞれが持ち味を発揮して最高の再演になると思います。
―エルは可愛くてカッコよくて元気をくれる女性ですが、演じていて好きな台詞や歌詞はありますか?
エルの台詞には、「これを信条にして生きていけたらいいな」と思うような素敵な言葉がたくさんあります。好きな台詞は皆さんに見つけていただきたいので、2幕のエルの台詞に注目してください。挫折した時に「こんな風に気持ちを立て直そう」とか、ヒントになる台詞がありますよ。
―では、お気に入りの楽曲は?
ハイライト的なのは『So much better』だと思うのですが、1幕の半ばの『ポジティブ』かな。エルが最初の第一声を歌い出せないくらい意気消沈しているところから始まって、色々なことを思い立って行動して、「これしかない」ということを見つけるまで…エルが立ち上がって行く曲です。最後は「ポジティブ!」という歌詞で終わるのですが、その時の晴れやかな表情とともにスカッとしていただけたら嬉しいです。
―以前、ご自身のことを「日常と役柄を近づけるタイプ」とおっしゃっていましたが、再演にあたりエルに近づけた部分、もしくは、より近づきたい部分は?
エルは決して人のことを悪く言わないし、いつも前向きで約束を守る子。彼女の言葉を口にしていると自分自身が洗われてゆくように感じるので、近づくという意味では『キューティ・ブロンド』の楽曲にすごく助けられています。落ち込んでもすぐに立ち上がって切り替えて、違う道や信じる道を見つけることができれば、人生で「辛い」と感じる時間も短くなっていくはず。再演にあたり、そんなエルのスピード感に改めて憧れることで、より役に近づけた部分はあると思います。きっと皆さんにも、「エルみたいになれたらいいな」と感じていただけるのではないでしょうか。
―エルがよく口にする「オー・マイ・ゴッド」。最近、そう思った出来事は?
初演に出演したロングコートチワワのブルーザーという犬と、再演でも一緒に出演するのですが、先日ブルーザーが初めてテレビ出演した時のことです。本当に長丁場だったのですが、「いい子でスタンバイしてね」と言ったら全く動かなかったり、ライトの中でも頑張って目を開けてくれたり、すごくいい子にしていたんです。でも、緊張のあまり小さな胸がトクトクトクと大きく鳴っていて、もうその頑張りが「オー・マイ・ゴッド!」でした。実はブルーザーは私の家族の一員なのですが、ご褒美にオヤツをたくさんあげました。ありがとう、ブルーザー!!
―昨年は『マイ・フェア・レディ』でザ・グランドホールの舞台に立たれましたが、その時の感想や久留米のお客様の印象をお聞かせください。
久留米、すごかったです!グランドホールのステージに初めて立った時、劇場のあまりの素晴らしさに息を呑んだのを覚えています。色合いだったり重厚感だったり、なんてセンスがいいんだろうって。自分で客席の上まで見に行きましたが、どの角度から見ても作品を掘り下げられる、そういう魅力のある劇場です。音響も非常に良いので、最上級の歌を届けられるのが嬉しい。それから、久留米のお客様は本当に温かくて、「待ってました!」という感情を惜しみなく伝えてくださるので、「久留米まで来て良かった!」と思いました。 『キューティ・ブロンド』はキュートでハッピーマックスなミュージカル。今回はお客様に「観に来て良かった!」と思っていただける作品で恩返しをします。
●Profile
1986年東京都出身。2002年歌手デビュー。2004年ミュージカル『INTO THE WOODS』で舞台初出演後、女優としてのキャリアを積み、第43回菊田一夫演劇賞受賞。昨年は『マイ・フェア・レディ』主演イライザ役で大成功を収めた。公式サイト