『第六回 久留米座 花緑会』柳家花緑師匠にインタビュー
終演後の花緑師匠から、2023年2月25日(土)に久留米シティプラザ 久留米座で行う『第六回 久留米座 花緑会』への意気込みなどをお聞きしましたのでご紹介します。
「柳家花緑 出前DEござる落語会」より
皆さん集中してよく聞いてくださっていて、とてもいい感じでした。僕は、時間は命だと思っています。いまは楽しみがいろいろある時代じゃないですか。でもお客様がこの落語会に価値を見出してくれて、集まってくれたことがうれしい。落語家は飲食店のシェフと同じ。味わっていただいて、その場で良い反応が見られるのは何よりなことです。
間は、自分の中の「おもしろ」だと思ってやっています。古典落語だからセリフの継承はできるけど、間は技なので、それを踏襲出来たらすごいこと。亡くなった師匠である祖父(五代目 柳家小さん)も「弟子は良いところからは似ない。悪いところから似てしまうなぁ」とよく言っていました。何度も何度も失敗を重ねて、山積みの失敗経験の上にキラッと光る何かが出てくる。間もそういうものだと思います。10年20年と積み重ねてきたものなので、20代の頃は今のような間ではなかったはず。師匠から習ったものをベースに、その土台の上に咲いている花。それを評価していただいているなら嬉しいです。
「柳家花緑 出前DEござる落語会」より
1席目の「つる」は、ただただ馬鹿馬鹿しい話で笑っていただきました。
2席目は、実はギリギリまで迷っていた。2月の花緑会ではできないものをやろうと、秋の話「目黒のさんま」を考えていた。でも客席の雰囲気を見ていて、もうちょっとストーリーのあるいい話をしたいなと。自分も人情噺が好き。花緑のいいところを見てもらうのに、「井戸の茶碗」のような話の方が言いたいことがそこにあるので、何か感じていただけるんじゃないかなと思ってその場で変えました。
歌舞伎でも演劇でも、役者の顔だけ決まっていて何をやるかわからないお芝居なんてありえないですよね。でも、東京の江戸落語は演目を事前に決めておかないんです(文化の違いで、大阪の上方落語は演目を決めておく場合が多い)。東京の寄席では、前座さんから始まって次々にやりたいネタをやっていく。次の人はそのネタ帳を見て別の話をやるのがルールだから、後になればなるほど厳しい。後から出る人はたくさん引き出しがないといけないんです。
それは、自分のごひいきのお客様を一番大事にしているから。毎回来てくださっている人を一番に考えると、去年やった演目は当然やらない。もっと年数を重ねたらもう一度やることはあるかもしれないけれど、2月の『第六回 久留米座 花緑会』では、久留米で披露していない演目をやらせていただくと思います。いくつか用意してきて、その時のお客様や会場の雰囲気に合わせて決める。だから、落語家はあまり緊張していたらうまくできない。空気を読むゆとりがないといけないですね。
来てみないとわからない(笑) 演目も決めて来ないですしね。
一番はその日の体調。体のこともあるし、気分もある。良いプレイをするには、アスリートと同じで日々の積み重ねが大事。みなさんに楽しんでもらえるよう、良いコンディションで当日を迎えたいです。
いま、人類に大事なことは免疫力。笑うと免疫細胞が活性化するので体に良いですよ。大いに笑いに来てください!
柳家 花緑(やなぎや かろく)