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『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』柿澤勇人さんにインタビュー

 三谷幸喜が書き下ろす、若き日のシャーロック・ホームズを演じるのは、ミュージカルや舞台を中心に活躍中の柿澤勇人。大のホームズ好きを公言している三谷に「心に闇を秘めている名探偵を演じられるのは、若い頃のレオナルド・ディカプリオか、柿澤さん」と言わしめた若手実力派俳優の素顔とは?ここでは、広報紙『まちプラ』ではご紹介しきれなかったインタビューをお届けします。

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三谷さんが「またやろうよ」と

誘ってくれるくらい楽しい作品に

 

−役づくりについて、三谷さんからリクエストなどはありましたか?

 特にありません。資料や本を読んだり映画やドラマも観ていますが、僕が演じるのは、皆さんがよくご存知の“名探偵”に至る前の青い時期ですし、佐藤二朗さん演じるワトソンとも年齢差があって設定が明らかになっていません。脚本が出来上がって、稽古する中で三谷さんが色々変えていくと思うので、過去の作品に捉われることなく対応していきたいです。

−ホームズは学生のころから身近な事件を解決した…というエピソードがありますが、柿澤さんご自身は推理や謎解きをした経験がありますか?

 ホームズみたいに「この人は指先が割れているからこの職業だ」なんて推理はできませんが(笑)、「この人はこんな話し方だから、こういう家庭で育ったのかな」くらいなら。

−今年、ストレートプレイが続いているのは何か意図があるのですか?

 ミュージカルはもちろん好きだけど、根底にあるのは芝居。劇団四季を退団したのは、「芝居を勉強しなければ」と強く思ったからです。今年で3回目の出演となった『海辺のカフカ』は、蜷川さんの演出を受けたくて毎日稽古場に通い、直談判し続けてやっといただいた役。他にも栗山民也さんや宮本亜門さんなど、演劇のスペシャリストである演出家の方とご一緒できたことで、より「演劇って何だろう」「面白い芝居って何だろう」と考えるようになりました。今年ミュージカルをやらないのは、僕自身が望んだこと。ストレートでも面白いものにはどんどんチャレンジしたいし、ドラマでも映画でも、とにかく色々なジャンルの芝居を経験して、どのフィールドでも戦えるようになりたいです。

−信念が強くて、それを実現させる実力もあると思いますが、ご自身の強みとは?

 ノドが強いことですね。以前、吉田鋼太郎さんのお芝居で、客席をずっと走り回って叫びまくる芝居があったんですけど、ギリギリの状態で千穐楽を終えました。鋼太郎さんは「カッキーのノドが最後までもたないようなら演出変えようと思ってた」って。絶対に僕がノドを潰すと思っていたみたい()

−伸びやかでよく通る、素敵な歌声ですよね。

 僕は自分の声がキライなんですよ。蜷川さんからも「お前の声はいい声だけど全然ノイズがないんだよ」って言われたので、無理やりノドを潰そうとした時期もあったんですが、「そこまでするな」って止められました。ハスキーな声になりたいけど、なれません。

−九州唯一の公演・久留米が千穐楽。しかも、公演中にお誕生日(1012)を迎えます。

 記念の公演になりそうですね。劇団四季の時にファミリーミュージカルで日本を約2周したので、久留米も多分行っているはずなんですが、公演が終わったらすぐ移動だったから…でも、福岡は大好き。ご飯が美味しいし、筑後の酒を飲んだこともありますよ。地方公演はみんな宿が近いので、一緒にご飯を食べたり酒を飲んだり、芝居やプライベートな話をする時間はとても楽しいし、勉強にもなります。今回はキャスト7人のコンパクトなカンパニー。みんな本当に素敵な人たちだから、一緒に良い作品にしたいです。

 

●Profile

1987年神奈川県出身。2007年に劇団四季入団、同年デビュー。『ライオンキング』などで主演を務めた後、2009年に退団。以後もミュージカルや舞台を中心に活躍中。主演作は『フランケンシュタイン』『デスノートThe Musical』ほか多数。映画やTVドラマなどにも活動の場を広げている注目の若手俳優。

『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』柿澤勇人さんにインタビュー

2019年07月19日