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『マイ・フェア・レディ』神田沙也加さんにインタビュー

「いつかやりたい」特別な作品でした。

イライザ役が決まった日のことは、

一生忘れません。

 

 ミュージカル女優を志したきっかけであり、目標でもあった『マイ・フェア・レディ』。神田沙也加さんにとって本作は、何度観ても色褪せることのない、語りつくせない魅力がある特別な作品でした。「イライザ役を射止めたと知った瞬間、絶叫して泣き崩れました」と振り返る表情はとても晴れやかで、どこか誇らしげ。周囲を幸福感で満たすような、輝く笑顔が印象的です。焦がれ続けたヒロインを、観る側から演じる側へ…公演直前の心境を語っていただきました。

喜怒哀楽が、より鮮やかなイライザを。

 

●念願だったイライザ役を演じるにあたり、意識していることはありますか? 

 憧れの先輩方が演じてきた役ですのでプレッシャーや緊張は当然ありますが、自分が培ってきたものを臆することなく出していきたいです。脚本が変わり、キャストも変わって、再演を重ねるたびにブラッシュアップしていかないと意味がないと思いますし、進化を任されたような気がしています。

●目指すイライザ像は?

 イライザは、覚えたいことや苦手なこと、うまくできないことにも全力で向き合う子。淑女になっていく過程はもちろん、淑女として振舞うときも、常に一生懸命なその姿が、どこか可愛らしくてチャーミングで、どこか滑稽でクスッと笑ってしまう…そんな相乗効果がお客様との間で生まれるといいなと思います。

●イライザはヒギンズ教授との出会いで変貌を遂げましたが、神田さんにもそういう出会いやきっかけはありましたか? 

 『キューティ・ブロンド』という作品では、センターに立つことの重みだったり、自分の背中を共演者のみんなに見せたり、常に“座長”としての意識を持って取り組みました。自分なりに考え、持てる力の全てで務めあげた結果、菊田一夫演劇賞というすばらしい賞をいただくことができたので、一つのターニングポイントになりました。

●理想のレディになるために、必要だと思うことはありますか?

 “かわいい”とか“きれい”とか女性を褒める言葉っていろいろありますが、表面的な部分ならメイクやファッションとか、努力次第でカバーできると思うんですね。でも、内面から出てくる“品”というものは、すぐに身につくものではないし、演じるのも難しい。教養を磨いたり、周囲に気遣ったり…女性力というか、「あの人は何をしていても品があるね」と言われるようなレディには憧れます。

●イライザ役は朝夏まなとさんとWキャストですね。

 まーちゃん(朝夏)は宝塚の男役トップを務めた方なので、立ち居振る舞いが絵になって素敵。いろんな基礎に加えて“品”もあるので、絶妙なイライザになるんじゃないかな。私の場合は、劇団や学校などの縛りのない中で、フリーダムになんでもやってみる、ルールを壊してみる、くらいの勢いでできるので(笑)、全く違うイライザになると思います。それに、まーちゃんと私は相手役ほども身長差があるので、イライザっていう女の子の“ひととなり”が、現れた瞬間から違って見えると思います。これはぜひ見比べて欲しいし、私もまーちゃんの回を絶対観たい!

●相手役のヒギンズ教授も、寺脇康文さんと別所哲也さんのWキャストです。

 寺脇さんと朝夏さん、別所さんと私、相手役がシャッフルせず固定なので、セリフは同じなんですけど、結末のニュアンスさえも違って見えたら面白いなって個人的には思います。それくらいライブ感があったらいいですね。

●久留米のお客様へメッセージをお願いします。

 久留米は子どものころに行ったことがあって、久しぶりに「ただいま!」と言える土地なんです。行けることも楽しみですし、とても大きくて綺麗な劇場と聞いているので、まあちゃんと一緒に行くのを楽しみにしています。「マイ・フェア・レディ」をご存知の方はもちろん、そうでない方にも楽しんでいただきたいですし、絶対に楽しめる作品を持っていきますので、ぜひ足をお運びください。劇場でお待ちしています。

 

◇「マイ・フェア・レディ」公演情報はこちら!

 

【かんだ・さやか】東京都出身。舞台を中心に女優としてのキャリアを積み、『キューティ・ブロンド』エル役で第43回菊田一夫演劇賞を受賞。『1789』『屋根の上のヴァイオリン弾き』ほか名作舞台に多数出演し、映画吹替でもディズニー映画『アナと雪の女王』(アナ役)、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(テレサ役)等の話題作に出演。声優としては第9回声優アワード主演女優賞を受賞するなど幅広い分野で活躍中。2019年2月より『キューティ・ブロンド』に出演予定。

 

『マイ・フェア・レディ』神田沙也加さんにインタビュー

2018年09月07日