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『グレーテルとヘンゼル』キャストインタビュー

 有名なグリム童話とはちょっぴり違う『グレーテルとヘンゼル』。幼い姉弟の本音が数多の共感を呼ぶとともに、むき出しの感情が胸に響く濃厚な二人芝居です。本作で5歳の姉・グレーテルを演じるのが福岡出身の土居志央梨、そして4歳の弟・ヘンゼルを演じるのが小日向星一。ここでは、広報紙まちプラvol.22で割愛せざるを得なかったインタビューを、くるっぱとのオフショットとともにお届けします。

 

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家族の大切さを

実感できる作品です

(土居・小日向)

 

―昨年の初演から間を置かず再演が決まりました。今の率直な感想は?

土居:昨年は、予想以上に子どもたちが自由に受け止めて、いろんな感想をアンケートに書いてくれたり、終演後に話してくれたりして。この話が子どもたちに真っ直ぐに届いたことがうれしかったです。今年はツアーで各地を回るので、いろんな地域の子どもたちと触れ合えるのが楽しみ。

小日向:昨年の公演が終わった時、もっともっとたくさんの人たちの前でこの作品ができたらいいなと思っていました。今回それが叶って、全国各地の方たちに観ていただけるのがうれしいです。

 

―昨年は、子どもたちのどんな反応が印象に残っていますか?

土居:怖いシーンで泣いたり、小さな声でお母さんに話しかけたり、それが舞台にも伝わってきて、リアルに届いているのを感じました。アンケートにも「グレーテルと同じ気持ちになったことがある」とか「お姉ちゃんに謝ろうと思います」とか共感してくれていましたし、保護者の方からも「子どもたちはいろんなことを考えているんですね」などいろんな感想をいただきました。

小日向:「家族を大切にしようと思いました」と書いてくれた子もいて、ちゃんと伝わっているのを実感しましたね。本番中は子どもたちもずっと集中して観てくれて、素直で純粋な反応が楽しかったですし、だからこそ全てを見抜かれているというか、嘘がつけないなって。

 

―大人になって4歳児と5歳児を演じる難しさは?

土居:演出のジェルヴェさんに、「わざとらしく子どもを作って演技をするのではなく、自分の素直な感情でやって」と言われたので、変に作ったりすることはなかったです。

小日向:僕は、「4歳児だからこんなふうにやろう」というイメージがあったんですが、ジェルヴェさんに「そんなに子どもっぽくやらなくていいよ。自分の中の気持ちで動いて」と初日に言われたのが印象的で、その後とても楽になりました。

―お互いの第一印象と、共演して感じたことは?

小日向:初めてお会いした時も今も、すごく頼れる先輩です。一緒に二人芝居をさせていただくことになって頼もしかったですし、本当の姉のように感じながら芝居ができました。ジェルヴェさんに「私はこう思う」って意見を伝える姿を見て、僕も小さくならず堂々としなきゃって。ちゃんと向き合っている姿がカッコよくて、ヘンゼルみたいに追いかけていました。

土居:いや、そんなことないよ()。星一くんはとても真っ直ぐで、柔軟さが素敵だなって。いろんなことをちゃんと受け止めて吸収して、いい形で出せるんですね。私は結構頑固だから見習うところがたくさんあります。実弟と同じ歳なので親近感があったし、芝居の中で自然にコミュニケーションできるのがすごくよかった。二人のバランスがいいのかもね。

 

―劇中のグレーテルは、常に空腹感に苛まれています。家族で食卓を囲む風景は、幸せの象徴の一つだと思うのですが、例えば今すごくお腹が空いているとしたら、誰と何を食べたいですか?

小日向:僕は家族と母の料理を食べられたら幸せかな。味噌汁とか普通の家庭料理。マザコンみたいだけど()

土居:先日、親族の結婚式で久しぶりに会った祖母と一緒に食べるシーンが浮かびました。私はいつも正月に福岡の祖母の家で食べていた雑煮かな。しばらく食べてないので。

 

―九州唯一の公演が久留米。お客様へメッセージをお願いします。

土居:実は、九州で舞台に立つのは初めて。しかも大千穐楽が自分の故郷なので本当にうれしいです。曾祖母が住んでいた久留米には子どものころに何度か行ったことがあるのですが、ご飯が美味しくて田んぼがバーっと広がっていたことを覚えています(笑)。『グレーテルとヘンゼル』は1時間くらいの短い芝居で、誰もが共感できる作品。夏休み最後の、とっても素敵な思い出になると思いますので、ぜひご家族で観に来てください。

小日向:僕は福岡自体が初めてなんですが、ラーメンが大好きなのですごく楽しみ。この作品は、15脚の椅子だけを使ったシンプルな演出が想像力を喚起します。子どもも大人も楽しめるので、ぜひ親子で観ていただいて、家族の大切さを実感していただきたいです。

 

【Profile】

土居志央梨(どいしおり)

1992年福岡県出身。2015年、京都造形芸術大学卒業。在学中の2013年『彌勒』(林海象監督)で映画デビュー。数々の映画や舞台、TVドラマなどに出演し、様々なジャンルで活躍中。特技は15年続けたバレエ。

小日向星一(こひなたせいいち)

1995年東京都出身。明治大学政治経済学部卒業。2015年より本格的に俳優として活動をスタート。舞台をはじめ、映画やCMTVドラマなど活動の場を広げている。特技は剣道で、三段の腕前。

2019年07月31日